Ear

耳の病気

耳の診療について

当院では、患者さん、医師とのコミュニケーションを重視しております。
初診時には、受付時にお書きいただく予診票と合わせ現状に至るまでのお話を伺い、耳・鼻・喉の診察をさせていただき、必要であれば聴力検査、内 視鏡検査を加える場合があります。その結果、その時点での診断をお話して、必要と考えられる処置、お薬の処方となります。受診の際に、疑問や不 安、または、ご要望がある場合は、遠慮なくおっしゃってください。

急性中耳炎

一般的に皆さんが中耳炎と言って想像するのが急性中耳炎です。主に子供がかかりますが大人でもなることはあります。耳に細菌やウイルスが入ることで発症しますが、通常鼻の奥にある耳と鼻をつなぐ耳管を通して病原体が耳に入ります。子供の方が耳管の機能が未熟なために病原体が耳に入りやすいのがその原因の一つです。

夜中に突然の発熱と耳が痛くなって泣き出したりすることも多く、保護者の方は対応に困ることも多いと思います。夜中では医療機関にかかる事が大変ですから応急処置をしましょう。痛がる耳を冷やして頭を少し上げた状態にするとかなり楽になります。

指先を火傷したことがある方は思い出していただきたいのですが、冷やすと楽になり、手を下げると痛みが増して、上げると楽になっていませんでしたか?理由は充血すると痛みが強くなるからです。ですから急性中耳炎でよくある症状が、お子さんが泣いているために抱っこをすると耳が心臓よりも高くなるので痛みが軽くなって泣き止むのですが、眠ったのでまた寝かせると痛みが増強してまた泣き出してしまうのです。ですから上半身が少し上になるようにクッションや座布団などを使って斜めに寝かせてあげましょう。できれば痛い耳を上にして、上から水の入ったビニール袋などで冷やすのがお勧めです。炎症のために局所の温度が上がっていますから、平熱レベルに冷やせばよいので氷水は必要ありません。冷たすぎるものはかえってよくありませんし、ビニール袋がピッタリと当たっている方が早く局所の熱を取ってくれるからです。痛いところを上にした方がよいのでアイス枕でしたから冷やすよりも上から冷やした方が効果的です。スポーツ用のアイシングバッグも水漏れの心配がないのでよいでしょう。

市販の解熱剤が家庭にあれば痛み止めとの効果もありますので飲ませてもよいでしょう。その際大人用は飲ませないようにしましょう。

痛みがなくなっても、耳の中に膿が溜まったままになっていることも多いので、必ず耳鼻咽喉科を受診しましょう。症状の程度によっては必ずしも抗生剤は必要ありませんが、痛みが強い場合に鼓膜切開をしたり、菌の種類を調べたりすることもあります。

滲出性中耳炎

基本的には痛みのない中耳炎です。やはり子供の方がなりやすい病気ですが、高齢者の方にも少なくありません。鼓膜の内側(中耳腔)に滲出液が溜まってしまうため聞こえが悪くなってしまいます。お子さんの場合、かなり聞こえに影響が出ていても自覚症状がないことがほとんどです。小学校の検診で見つかった場合も、本人は自覚がないケースがほとんどですので、耳鼻咽喉科で確認しないとわからない事が多い病気です。

原因は急性中耳炎の所にも出てきましたが、鼻と耳をつなぐ耳管の機能不全によります。通常唾を飲んだときやあくびをした時に普段閉じている耳管が開き、鼓膜の内外の気圧調整をしています。鼻炎があって耳管が塞がってしまうと、耳管が時々しか開かなくなったり、ひどいと全く開かなくなってしまいます。そうなると、気圧のリセットができないために徐々に耳の中の空気が足りなくなってしまい、水が出てくることになるのです。

鼻が悪いことが主な原因ですから、鼻炎症状を改善させることで治癒することが多いです。が、治癒するまでには数ヶ月かかることも珍しくなく、地道に治療を続ける事が重要です。

長期間投薬しても改善しない場合は鼓膜切開を行います。当院ではレーザーによる鼓膜切開を行っており、通常の鼓膜切開よりも再発しにくくなっています。レーザー切開を繰り返しても再発する場合は小さなチューブを鼓膜に入れる治療をします。お子さんでもほとんどの方を当院でチューブ挿入を行っています。

痛みがないからと放置してしまうと、稀ですが癒着性中耳炎というかなりやっかいな状況になってしまうこともありますので、時間がかかることが多いですがきちんと通院することをお勧めします。また、大人で滲出性中耳炎になっている場合、鼻の奥(上咽頭)になにか疾患がある場合があります。耳鼻咽喉科以外で確認することは困難な部位になりますので受診を強くお勧めします。

耳垢

垢は自然に外に出てくる仕組みになっています。原則として掃除は必要ありません。動物も耳垢はできますが掃除ができるのは人間だけです。耳掃除をしなくても大丈夫な仕組みがあるからで、同じ仕組みが人間にもあるのです。耳掃除をしたときに押し込んでしまったり、傷を付けてしまうようなこともありますので、あまり掃除はお勧めしません。綿棒にせよ耳かきにせよ一長一短があります。特にお子さんの耳掃除をしてあげる際は見えるところだけを触るようにしましょう。そもそも耳垢は奥にはできない仕組みなので、入り口だけで十分だからです。

もし、耳に水が入ってしまって気になるような時は、ティッシュペーパーでこよりを作りましょう。こよりであれば奥まで入れても傷つけるようなことはありませんから安心して使えます。

耳垢が気になる時はどうぞ受診していただいてかまいません。一般的には定期的に受診しないといけない人はなにか耳に病気がある人以外はあまりいらっしゃいませんので、特に気になることがなければ他の症状で受診した際についでに掃除をすれば大丈夫です。

外耳炎

圧倒的に耳掃除のやり過ぎでなることが多い疾患です。外耳道の皮膚は薄く、特に奥に行くほど薄くなり、また皮膚の下も硬い骨になります。クッションになる皮下組織が非常に薄いので、綿棒でこすっただけでも強い力がかかってしまい、皮膚を傷つけてしまって菌が入ると炎症を起こしてしまいます。

難聴

中耳炎や耳垢で難聴になっている場合はそちらの治療をすれば改善が見込めます。急に難聴になる場合と、いつの間にか難聴になっている場合があります。

急に難聴になった場合、なるべく早く受診してください。発症後時間が経ちすぎると治らなくなってしまう病気があります。突発性難聴と呼ばれる病気がそれに当たり、おおむね発症後1週以内に治療を開始しないと治療成績が悪くなっていきます。急に難聴になった、と言うだけではわかりませんので、できるだけ早く耳鼻咽喉科で検査が必要です。また、程度や持病によっては入院治療をお勧めすることもあります。いずれにせよ、早期に診断をしないと治らなくなってしまうことがありますので早めに受診しましょう。

つの間にか難聴という場合、多くは加齢によるものです。健康診断で指摘されたり、家族に指摘されたり、もちろん自覚症状で気づく人もいらっしゃいます。他人に指摘された方の場合、難聴があっても自覚的には耳が悪くない、と思っておられる方も多くいらっしゃいます。徐々に進行している難聴の場合、慣れてきてしまうので難聴になっていることに気づきにくいのです。程度によっては補聴器が必要です。なかなか補聴器を付けたがらない方が多いのですが、早めに始めたほうがよいことが多いので、是非前向きに検討していただきたいです。

その他にもいろいろな疾患が想定されますので、なるべく早めに受診をお勧めいたします。

めまい

めまいの全てが耳に関係しているわけではありませんが、多くの場合で内耳に問題があってめまいを起こしています。

めまいの診断にはいつどのような状態の時にどんなめまいがどのくらいの時間続いたのか、と言った事が大変重要です。例えば、朝起きた時にめまいがした、と言っても、目を開けた時点でめまいがしたのか、頭を動かした時か、体を起こした時か、歩き出してからか、と言った具合に細かく状況を確認します。特に何もしていない時と言う方もいらっしゃいますが、座って本を読んでいた、テレビを見ていた、歩いている時、仕事でパソコンを使っていた、など具体的に聞く必要があります。めまいの状況もグルグルまわる感じなのか、ふらつく感じなのか、どのくらいの時間続くのか、同じ強さでずっと続いているのか、など細かく伺います。問診だけでもかなり疾患が絞り込まれてきます。

耳からのめまいで代表的な病気はメニエール病と良性発作性頭位めまい症になります。それぞれ特徴的な症状がありますので、典型的な症状の方は詳細な問診だけでもほぼ診断が付きます。耳が原因と考えられるめまいでも、なかなか診断が難しいケースも少なからずありますが、長期間続く場合などは専門的検査のできる病院を紹介することも可能です。

耳以外が原因のめまいもありますが、患者さんがそれを判断することはできません。当院では必要があれば、脳神経外科、内科などに紹介させていただきますのでお気軽にご相談ください。